従来は地球環境問題として捉えられてきた「サステナビリティ(持続可能性)」を、人類社会にとっての基本的・本質的な将来テーマとして捉え直し、「持続可能な開発」、「持続可能な平和」そして国際人権保障の観点から、「新しい社会と学問との関わり方」について俯瞰する。

履修者は、単に学問の最先端について学ぶだけでなく、自分自身の問題として、さらには人類社会・地球共同体の一員として、現在を生きる人々、生命や尊厳を脅かされている人々、将来生まれてくる人々に思いを馳せてほしい。



受講生の感想

現在の安全保障と、あるべき姿についてとても分かりやすく説明していただき、興味深く拝聴しました。世界に目を開く、ということを肝にめいじて、自らのリーダーシップを育てられたら、と思います。(緒方先生)

主体としての国家・個人と全体としての世界・共同体という2種類の参加者がいかにして持続性を可能とする社会をいかに築くかをテーマにした講義は自分の将来について考える時に大きな刺激となりました。(佐藤先生)

中国の発展は、規模や制度の特殊性から先例がなく、モデルや命題に当てはまらないことが分かり、未来の見えない中国のこれからが非常に興味深く感じた。(中兼先生)

実際に現場で働いていらっしゃる先生のお話を伺うことが出来て興味深かったです。人権保護によるマイノリティの地位向上は、共生を目指すべきこれからの世界で重要だと思いました。(岩沢先生)

民族紛争の問題を考える上で、アフリカを無視することはできない。今後、学習を発展的に行っていくなかで、今回の講義で得られた知識はおおいに役立つだろうと思う。(山影先生)


各講義概要 第1回 – 第13回

TAレポート にはTeaching Assistant学生による講義レポートがあります。

緒方 貞子 「人類社会の将来」

国際協力機構理事長、元国連難民高等弁務官

グローバリゼーションの浸透とともに、ヒト、モノ、カネ、情報が活発に国境を越え、国家は人々が必要とする保護と安全を十分提供することができない時代となった。その中で、人々にフォーカスした安全保障、社会・経済開発の政策的展開を考える。

第1回

4月10日(火)人間の安全保障–政策的展開
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佐藤 安信 「持続可能な平和の課題」

東京大学大学院総合文化研究科教授

国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)人権担当官としての体験を交えて、人間の安全保障と平和構築の学術上の位置づけを俯瞰し、その両概念の出自、発 展、関係の理論的な背景を具体的な事例を示しながら議論する。また、人間の安全保障概念による平和と開発を、包括的統合的に研究する新たな平和構築研究の パラダイムを提案する。特に、その核としての人権・難民研究に光を当て、研究と実務の循環型の実践研究を提唱する。実務者などを招き、現在進行形の平和構 築支援のあり方について、国際機関や政府、企業、大学のそれぞれのアプローチの可能性と課題を検討、討論する。

第2回

4月17日(火)「人間の安全保障」と平和構築
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第3回

4月24日(火)紛争・平和と貧困・開発はどのように関連しているのか?
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第4回

5月1日(火)平和構築の課題
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中兼 和津次 「持続可能な開発の課題」

東京大学名誉教授、青山学院大学国際政治経済学部教授

いま注目を集める中国を素材に、経済発展とは何か、体制移行とはどういうことか、それをどう分析するのか、について、既存の理論の有効性と限界と合わせ論じ、また中国が抱える幾多の難問のうち、農民問題と環境問題に焦点を当てて現状と今後を考えてみる。

第5回

5月8日(火)中国の経済発展とその特色
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第6回

5月15日(火)中国経済の高成長はこのまま続くのか?
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第7回

5月22日(火)中国経済と環境・腐敗問題
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岩沢 雄司 「国際人権保障の課題」

東京大学大学院法学政治学研究科教授、国連自由権規約委員会委員

「平和を乱す国は人権を蹂躙していることが多い。人権を国際的に保障することは、世界の平和を持続するために重要である。本講義では、国際社会はどのように 人権を保障しようとしているかを考える。講師自身が国連自由権規約委員を務めており、自由権規約委員会の役割に特に焦点を当てる。


第8回

5月29日(火)国際人権保障の展開
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第9回

6月5日(火)自由権規約委員会はどんな活動をしているのか?
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第10回

6月12日(火)国際人権保障の諸相
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山影 進 「アフリカに見る問題の噴出」

東京大学大学院総合文化研究教授

持続可能な開発・平和、そして国際人権保障をめぐる問題は現実の社会では複雑に絡まり合っている。だからこそ、人間の安全保障という新しい捉え方も必要に なる。そこで、この種の問題が特に深刻なアフリカを事例にしながら、問題の複雑性について理解を深めることを目的とする。異なる視点から見えてくるアフリ カの問題をゲストを交えて一緒に考えていく。

第11回

6月19日(火)ルワンダの虐殺から考える
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第12回

6月26日(火)市民社会形成から考える
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第13回

7月3日(火)仮想国家から考える
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