2006年夏学期
「社会の形成
−人間はいかに共生してきたか−」
現代社会は、国際化、情報化、少子化など複雑な課題に直面しています。今後平和で豊かな社会を形成していくためには、こうした課題に取り組み解決していかなくてはなりません。 政治、経済、社会、歴史などを対象とする社会科学は、複雑な社会現象を解明し、課題を解決するための多くの理論や知識を蓄積してきました。しかし、他方で、学問領域が細分化し、私たちが直面している現象をトータルに理解することが難しくなっていることは否めません。
各学問領域の研究が、現実の社会現象を理解し、課題を解決する上でどのように役に立つのか。そもそもそれぞれの学問が社会現象をどのように捉え、解明しようとしているのか。またこれまでの社会における人間がどのように捉えられ、どのような理念に基づいて社会が形成されてきたのか。
こうした各学問領域の最先端の知識と現実の社会との結びつきを、これから多様な学問領域においてより高度な知識を学ぼうとしている学生諸君に対し人類がいかに社会を形成し共生してきたかに焦点を当てて、わかりやすく解説するのがこの講義の目的です。
この講義は、社会科学の分野において著名な本学教員4名が講師を担当します。この講義によって生徒諸君が人類の歴史という視点から社会の全体像を掴み、前期過程で学んでいる授業科目の重要性や位置付けを再考し、将来の勉強に向けて展望を得ることを期待しています。
受講生の感想
政治学の講義でありながら、時折学問一般としての広い視座から政治学をとらえ直されていたので、学問への意欲が喚起される良い機会となりました。(佐々木先生)
自分は理系ですが、分かりやすく大変興味深く聴講することができました。(佐々木先生)
自分が高校までに学んだ世界史や地理の知識がつながった感じがして良かった。(原先生)
歴史的な観点から経済を見ることで、今までなかった視点で各国家を見るとともに、歴史的背景を考えながら、それを現在の各国の経済、政治と結びつけて考えるということを学ぶことができました。(原先生)
全体的に複眼的な視点からの興味深い講義だった。(田中先生)

にはTeaching Assistant学生による講義レポートがあります。
佐々木 毅 「権力と自由の生態について」
前東京大学総長
政治現象を理解する上で欠かせないのが権力の理解である。権力現象は複雑多岐にわたるが、それは人間の自由の現れと表裏一体の関係にある。政治権力の誕生はその中の着目すべき独特の現象であることを念頭に、その生態の現代にまで及ぶ基本的な特製を把握する。
第1回
4月13日(木) 権力/自由の相互規定関係
第2回
4月20日(木) 政治権力の制度化〜立憲主義をめぐって〜
第3回
4月27日(木) 政治権力と参加〜民主主義をめぐって〜
第4回
5月11日(木) 政治権力と境界線〜主権国家をめぐって〜
原 洋之介 「経済を軸にみるアジア世界〜歴史と現状〜」
元東京大学東洋文化研究所長
アジアには様々な生態系をもった地域があり、古い時代からその間を繋ぐ交易活動が盛んであり続けている。この講義では、商品の交易という視点からアジアの歴史と現状を大きく俯瞰することを通じて、経済社会の多様な成り立ちと、それらの共存の条件を探っていく。
第5回
5月18日(木) アジアの多様な生態と歴史の構造
第6回
5月25日(木) 大文明圏 中国とインド
第7回
6月1日(木) 周辺文明圏 東南アジア
第8回
6月8日(木) 21世紀における日本とアジア
田中 明彦 「世界システムという社会?」
東京大学情報学環 教授
国境や民族の境を超える人々の相互作用は、「社会」を形作るのだろうか。そのような「大きなシステム」にはどのような特徴があると考えられてきただろうか。一般的に政府が存在しないとき、人々はどうやって共生するのだろうか。21世紀の世界は、これまでの世界と比べて、何が変化してきたのか。現在の東南アジアの動向を、どのように理解したらよいか。人文社会科学のさまざまなアプローチを検討しつつ、これらの問題を考える。
第9回
第10回
第11回
第12回
7月6日(木) 世界システムの中の地域化−東南アジアという事例

森田 朗 「社会の形成と社会科学」
東京大学大学院公共政策学連携研究部長
3人の先生方による12回の講義を総括して、社会現象を異なる学問的切り口から見た像を合成し、立体的な全体像を示すことを試みる。そして、社会科学の概念や理論というルーツを用いて、現実の課題をどのように分析・理解し、解答をみいだすべきか、その可能性と学問的考察の魅力について論じる。
第13回



















