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2009年冬学期

歴史とは何か

コーディネータ:古田元夫(教養学部)
ナビゲータ:森山工 (教養学部)
  • 地域/国際
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この俯瞰講義では、大学で展開されている歴史学という学問の、基本的なあり方とおもしろさ、魅力を考えてみたい。まずは、歴史学の基本的なあり方に関する三人の講師の三回ずつの講義が行われる。これは、やや硬い表現を使うと、史学概論、史料論、歴史認識論だが、これらの領域の基本的な課題をできるだけわかりやすく提示したい。これに続いて、三人の講師がそれぞれ一回の講義で、自分自身の歴史研究の魅力を、具体的な人物、モノやフィールドワークに即して歴史を描いていく「作業場」を紹介しつつ語ることを予定している。歴史とは「現在と過去との対話である」というのは、20世紀を代表する歴史家E.H.カーの議論だが、この俯瞰講義を通じて、「歴史とは何か」について、ともにじっくり考えてみたい。


TAレポート にはTeaching Assistant学生による講義レポートがあります。

歴史なんていらない?

羽田正(東洋文化研究所) 
 世界史の新しい叙述方法に挑戦、『イスラーム世界の創造』はアジア太平洋賞特別賞

日中・日韓間で繰り返される教科書や歴史認識の問題に見られるように、歴史はしばしば紛争の種となっている。また、皆さんがくぐり抜けてきた大学入試における歴史は、単なる暗記科目で苦痛だとも言われる。歴史があるために、私たちはいらぬ苦労をしているのではないか。私たちにとって歴史は本当に必要なのだろうか。この連続講義では、19世紀に成立した歴史学という学問の特徴と今日までの歩みについて概略を説明した後に、現代世界においてなお歴史学が必要とされるなら、それはどのようなものであるべきかを論じたい。

第1回

10月5日(月)なぜ歴史を学ぶのか?
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第2回

10月19日(月)近代歴史学の歴史

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第3回

10月26日(月)地球主義の世界史

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史料から歴史を考える 

保谷徹(史料編纂所) 幕末の日本から世界を見る―外交から軍事まで―

史料に基づいて論じること、これは歴史研究の大原則である。研究材料としての史料の調査・収集、読解、史料批判は歴史学の基礎を形成している。東京大学史料編纂所は、こうした史料学研究の上にたって史料集の編纂・出版をおこなう日本史の研究所であり、その歴史は江戸時代の和学講談所(1793年開設)までさかのぼる。古い伝統だけでなく、最新の情報技術を駆使する日本史の研究拠点でもある。ここでは、これまで取り扱った多様な史料を読み解きつつ、史料研究の最前線を紹介してみたい。またその中で、史料保存機関としてのアーカイヴズ(文書館)論にふれ、さらに鉄砲(モノ)伝来を素材にして、幕末維新期の「軍事革命」を論じることにしたい。

第4回

11月2日(月)史料調査と史料編纂-最新技術と伝統の織りなす最前線-
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第5回

11月9日(月)外国史料からみる日本史-在外史料研究とアーカイヴズ-
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第6回

11月16日(月)モノと史料-世界史の中の鉄砲伝来-
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いま生きている過去

三谷博(教養学部) 日本研究の国際化の先陣を切る、『明治維新とナショナリズム』はサントリー学芸賞

我々は日々、過去を再構成しながら生きている。我々のアイデンティティは個人的なものも、集合的なものも、過去と未来をつなぐものとして構成され、したがって生活の展開にともなって過去の位置づけも変わってゆく。しかし、我々はときに遠い過去の記憶に囚われ、悩まされることもある。21世紀の初頭に日本人が近隣の人々との間に経験した問題はその典型であった。この講義では、この東アジアの歴史認識論争について具体的な事実を紹介した後、その背後にある世界に普遍的なナショナリズムのダイナミックスを解明し、その上で、今ある「国民史」を超え、世界に新たな希望と秩序をもたらしうるような歴史記述の可能性を探究してみたい。

第7回

11月30日(月)21世紀初頭の歴史認識論争
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第8回

12月7日(月)ナショナリズムと「忘れ得ぬ他者」
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第9回

12月14日(月)「国民史」を超えて
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歴史の作業場から

小松久男(文学部) 激動の中央アジア近現代史の権威

深沢克己(文学部) 近世フランス史を第一線で研究

桜井由躬雄(名誉教授) ベトナム農村を知悉する社会史研究者

この3回の講義では、具体的な人物やモノ、ムラでのフィールドワークなどに即して歴史を描いていくことの魅力を、3人の講師が、自身の研究を基礎に語る。まず小松久男「イブラヒムの旅-境界を越えて―」では、20世紀前半に日本を含むユーラシアを広く巡り、イスラーム世界の解放を構想したアブデュルレシト・イブラヒムを事例に、日本史、東洋史、西洋史の境界を越えた歴史の連関と共時性、日本とイスラーム世界との関係、多言語の史料が一つに結ばれる面白さなどについて話をする。深澤克己「ユーラシア東西交易と更紗の道―技術・文化・人の移動―」は、以下のような内容である。歴史を語るのは文字史料ばかりではない。一片の布地が歴史を語ることもある。マルセイユの古文書館で発見された更紗の断片は、インドの染色技法がいかなる経路でヨーロッパに導入され、ユーラシア規模での文化の交流・伝播・共有を実現したかを証言する。最後の桜井由躬雄「経験としての現代史―飢餓・焼土・彷徨・そして革命―」では、オーラルヒストリーを通じた現代史の再構成について語る。桜井はベトナムの一村落で16年間にわたって老人の聞き取り調査を続けている。激動の20世紀史の中から、第二次世界大戦、対仏独立戦争期に焦点をあわせ、普通の人々の経験としての現代史を語る。

第10回

12月21日(月)イブラヒムの旅-境界を越えて-(小松)
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第11回

1月7日(木)ユーラシア東西交易と更紗の道-技術・文化・人の移動-(深沢)
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第12回

1月18日(月)経験としての現代史-飢餓・焦土・彷徨そして革命-(桜井)
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歴史の魅力

古田元夫(教養学部) アジアの地域史研究のリーダー

これまで12回の俯瞰講義のまとめを、歴史を見ること、歴史を描くことの魅力という角度から行う。

第13回

1月25日(月)歴史の魅力
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