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2009年冬学期

数学を創る
― 数学者達の挑戦

コーディネータ・ナビゲータ:岡本和夫 (理学部)
  • 数理科学
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数学は「自然現象の背後にある数理現象を見ること」である、と故小平邦彦教授(日本人初のフィールズ賞受賞者)は繰り返し述べていた。数学の本質を言い表しているこの言葉の意味を今一度考え直した上で、二つのことを付け加えたい。まず、数理現象は自然現象ばかりではなく、社会や技術という現代のシステムの背後にも隠れている。自然や社会から数理現象を見出し、これを数学という言葉を使って表現したものが数理モデルであるが、数学そのものから新しい数理モデルが作られることもある。数学とは、まずこのような観測から第一歩が始められる。また、現象を観測しただけでは科学にはならない。石は磨かなければ玉(価値のあるもの)にはならない、これがもう一つの大事な観点である。発見された現象を分析し、あるいは統合し、必要ならば新しい数学の道具を開発することによって、数理モデルは完成度を増し、新しい数学となる。

この講義では、数学者達が何を考え、どのように試行錯誤しながら理論を創り出してきたのか、数学研究の営みを紹介する。みなさんが高校や大学の数学の講義で教わっている数学は、完成したものであり、数学者達を夢中にさせる醍醐味を味わうことは難しいだろう。ここでは、そんなエキサイティングな現場の様子を届けたいと思う。


TAレポート にはTeaching Assistant学生による講義レポートがあります。

数学はどうやって創られたか

岡本和夫(理学部) 関数を創る数楽者

室田一雄(工学部) 離散凸解析の創始者

学校で学ぶ数学は「創られた」後、さらに整理されたものである。ここでは視点を変えて、歴史から題材を一つ取り、数学が創られてきた過程を紹介する。また、現代社会を支える数学とそれが創られていく姿を紹介する。

第1回

10月8日(木)数学はどうやって創られたか

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ことばを創り、世界を創る 

斎藤毅(理学部) 数の世界の幾何学を探る

英語Iの教科書‘‘On Campus’’の第4課には、フェルマーの最終定理の証明の糸口発見のきっかけとなった、谷山と志村の出会いが描かれている。17世紀にフェルマーが書き込みを残してから、1994年にワイルスが証明するまで、数学者はすばらしい発見を積み重ね、そのような難問も解決できる世界を創りあげてきた。人類の歴史とともに、古くそして今も発展を続ける数学の世界は、どう創られてきたのか、その一端を紹介する。

第2回

10月15日(木)Mathematics “On Campus”

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第3回

10月22日(木)数の体系を創る

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第4回

10月29日(木)数と図形の共進化

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脳と情報の数学を創る

甘利俊一(理化学研究所) 脳の数理の先駆者

脳はとてつもなく複雑な器官である。脳は情報を処理するのみならず、さらに心を生みだす不思議な器官である。数学も、脳が創り出した。脳の仕組み、さらには情報そのものを、数理という方法で見ると何がわかるのだろう。脳は数理科学にとっての一大挑戦課題であると同時に、新しい数学を生む宝庫である。

第5回

11月5日(木)情報の仕組み:驚き、確率、幾何学
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第6回

11月12日(木)脳の仕組み:脳内情報の表現、記憶、学習の数理
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目の錯覚の数学を創る

新井仁之(理学部) 視覚数学をリードする

私たちの視覚はしばしば錯覚を引き起こす。これは錯視と呼ばれている。なぜ錯視は起こるのだろうか?本講義ではこの問題に数学を用いてせまってみたい。そのために用いる数学は、ウェーブレット、特に離散ウェーブレットと呼ばれるものである。これは1990年頃より錯視研究とは関係なく創られてきた数学である。講義では、さまざまな錯視とその数学的な解析を、ウェーブレットの入門的解説も交えて述べていきたい。さらに錯視の研究を進めていくために、ウェーブレットを超えた新しいフレームレットも創っていく。

第7回

11月19日(木)数学で探る錯視の世界
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第8回

11月26日(木)脳の中のウェーブレット
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第9回

12月3日(木)錯視が創る新たな数学 – ウェーブレットからフレームレットへ –
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形を理解するための数学を創る

坪井俊(理学部) 力学系でポアンカレを継ぐ

プラトンの多面体と呼ばれる5つの正多面体は、しばしば神秘的な意味を持つものとしてあつかわれた。これらは美しい対称性を持つ図形である。近世において、デカルトが座標を導入したことの意味は、数式と図形が対応するようになったことである。図形一つ一つの個性を考えることから、たくさんの図形の関係を考えることへの意識の変革が生まれた。さらに微分積分が発見され、宇宙に現れる楕円軌道が、ニュートンの万有引力の法則と運動方程式から説明された。そこに、宇宙の形を考えるという意識が生まれてきた。形をどのように理解するかという数学は、まだ数百年の歴史しかないが、新しい数学として発展しつつある。

第10回

12月10日(木)惑星の軌道を理解する
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第11回

12月17日(木)多面体の形と曲面の上の軌道の形
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第12回

1月14日(木)形の見分け方と数学の視点
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文化と数学

岡本和夫(理学部)

この俯瞰講義では、数学の最前線が創られていく次第を概観した。これらの話題を含めて、広く「文化と数学」という視点から、数学の過去、現在を考えてみる。数学の将来は、もちろん講義をする方にではなく聴く方に委ねられているのである。

第13回

1月21日(木)文化と数学
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