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2015年Aセメスター

クールヘッド・ウォームハート-みえない社会をみるために

コーディネータ・ナビゲータ 玄田 有史(社会科学研究所)
  • 社会/制度
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イギリスのケンブリッジ大学にアルフレッド・マーシャル (1842-1924) という学者がいました。マーシャルは経済学の発展に多いに貢献した人物ですが、1885年の教授就任講演での締めくくりの言葉がよく知られています。

「ケンブリッジが世界に送り出す人物は、冷静な頭脳と温かい心をもって、自分の周りの社会的苦悩に立ち向かうために、その全力の少なくとも一部を喜んで捧げよう」(伊藤宣広訳『経済学の現状』)。

この「冷静な頭脳と温かい心」(Cool Head but Warm Heart) という言葉は、今も経済学者のあるべき理想の姿といわれています。ただそれは経済学にとどまらず、社会のさまざまな問題を解明しようとするあらゆる学問領域に共通する姿勢でしょう。

では冷静さと温かさを持って、私たちはどのように社会の問題に立ち向かっていくべきなのでしょうか。社会の問題は、目にみえる問題もあれば、背景や解決策がすぐにはみえない問題もあります。みえない社会の問題は見逃されたまま、取り残されてきました。

しかし東京大学には、様々な社会の問題を発見し、その解決に向けて、日々学問的挑戦を続けているクールヘッド・ウォームハートな教員がたくさんいます。今回の学術俯瞰講義では、そんな教員の何名かに登場していただき、社会の問題との向き合い方について学びます。

みえない社会をみるために

第1回 9/18

玄田 有史(社会科学研究所)

この講義の目的と受講者に期待する内容について説明します。その上で、「みえない社会をみる」ための実践例として、東京大学社会科学研究所が2005年から取り組んできた「希望学」について解説します。

桜花の時空-東アジアの花の環

第2回 9/25

佐藤 俊樹(教養学部)

日本の文化の象徴とされてきた桜の花。その花も今は、東アジア特有の起源論の渦に巻き込まれています。正史の空間の強烈な磁界のなかで、どうすれば複数性と多元性を保ちながら、固有な何かを見出していけるのでしょうか。論理と心情の冒険です。

障害者の包摂と排除-学校教育の裏面史

第3回 10/2

小国 喜弘(教育学部)

1979年の養護学校義務化に対する反対闘争についての記録映画「養護学校はあかんねん!」を手がかりとし、障害者の包摂と排除という観点から学校教育の果たしてきた役割について検証します。

粉飾決算の原因を探る-「社会のきまりごと」の多面性

第4回 10/9

米山 正樹(経済学部)

時々メディアで大きく取り上げられる企業のスキャンダルに「粉飾決算」「不正経理」「利益操作」などがあります。避けるべきであるのは自明にもかかわらず、これらは繰り返されてきました。本講義では、「善悪の二元論」ではとらえきれないこの問題の本質に迫ります。

社会的想像力のススメ-見えないことと見ようとしないこと

第5回 10/16

白波瀬 佐和子(文学部)

「社会って何?」と質問されたら、どのような場面を想像するでしょうか。社会問題、社会現象など、社会とつく用語が沢山あるわりに、その実態ははっきり見えてきません。社会を見るための道具として何があるのでしょうか。社会的想像力について考えます。

栄養の循環と社会

第6回 10/23

藤原 徹(農学部)

人類は食糧に依存し、食糧は作物により作られ、作物は栄養を土壌から得て生育します。人類は食糧を消費しますが、食糧は形を変えて環境に排出されます。この人類の営みが社会にどのような影響をおよぼしてきたかを考え、将来像について議論します。

経済社会とリスクテイク

第7回 10/30

宮尾 龍蔵(経済学部)

経済活動のプレイヤーは、日々リスクに向き合い、見えない将来に対してどうリスクを取るべきか判断を迫られます。金融市場や企業などのリスクテイク行動を経済学ではどう分析するのかを紹介し、グローバル経済でのリスクとの向き合い方について考えます。

日本経済と労働市場

第8回 11/6

宮本 弘曉(公共政策大学院)

少子高齢化、情報化の進展、新興国の台頭など、日本経済を取り巻く環境は現在大きく変化しています。このような環境変化の中、日本経済はどのような問題に直面し、今後どのような経済社会システムが求められるのでしょうか?雇用問題に注目しながら、現在そしてこれからの日本経済を考えます。

国際社会における平和-その条件について考える

第9回 11/13

石田 淳(教養学部)

国際社会とは何か。平和とは何か。そして国際社会における平和の条件とは何か。これらの問題について、国際関係論の観点から考察します。

無利益と不合理の隙間を-鳥羽渓谷の希望

第10回 11/24 5限(振替授業日)

五百旗頭 薫(法学部)

目に見える利益がないのに、福井県若狭町の大鳥羽および周囲の集落が行政負担を分担してきたのはなぜでしょうか。今後、この分担が不合理な水準に達しないためにはどうすればよいのでしょうか。

二つの想像力-原子力発電所の是非をめぐって

第11回 11/27

五百旗頭 薫(法学部)

原子力発電所からの卒業のためには、目前の経済的便益や電力需要を超えた想像力が必要といわれています。発電所がない場所に誘致する行為にも、別の強力な想像力が必要でした。二つの想像力の特徴を考えます。

政治思想史と現代社会

第12回 12/4

宇野 重規(社会科学研究所)

政治思想史の古典とは、どこか遠くにある国の、はるか昔のよく分からない話が書かれたものなのでしょうか。現代社会に暮らす私たちにとっての生きる糧となるような、そんな古典の読み方を考えてみたいと思います。

講義のまとめ-「みえる」と「みえない」のあいだで

第13回 12/11

玄田 有史(社会科学研究所)

これまでの12回の講義を振り返り、どのようにすれば見えにくい社会の問題に気づき、そして解決の糸口を求めることができるのかを、受講者との議論を通じて考えてみたいと思います。

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