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2015年Aセメスター

脳の科学-シナプスから人生の意味まで

コーディネータ 多羽田 哲也(分生研)、上田 泰己 (医学部)
ナビゲータ   道上 達男(教養学部)
  • 生命科学
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私たちが考えたり、昔を思い出したり、あるいは夢を見たりすることは、いうまでもなく脳の働きです。この時、脳の中の膨大な神経ネットワークで何が起こっているのでしょう。それを知るために、ヒトのみならず、サル、マウス、ラット、さらには線虫、ショウジョウバエといった様々なモデル動物が用いられ、これらを対象として、電気生理学、シナプスにある分子の働きを調べる生化学や細胞生物学、顕微鏡やfMRIを用いたイメージング、遺伝子改変動物、数理解析など、様々な手法を駆使した研究が行われています。このような多方面からのアプローチを、それぞれの専門家がわかりやすく紹介し、最後に、脳科学の進展が私たちの存在の理解にどのように寄与するか、科学哲学の立場から講義します。

脳は脳を知るでしょうか。

本講義シリーズの終わりには、脳の働きを細胞の情報伝達のレベルで理解するのはもうすぐ手が届く近未来のことだと、皆さんは楽観的になるでしょう。その研究に自分も身を投じてみたいと思うようになるかもしれません。私たちが生きている意味を理解する一助として、所属や専攻に関わらず駒場の全ての皆さんの聴講を歓迎します。

ブレイン・デコーディングとブレイン−マシン・インターフェース

第1回 9/17

第2回 9/24

神谷 之康(京都大学)

脳の信号は心の状態を表現する「コード(暗号)」と見なすことができます。情報科学の手法を用いてそのコードを解読(デコード)する方法と、デコードした情報をもとに機械やコンピュータを操作する技術を紹介します。

全脳・全身透明化から見えてくるもの-個体システムの「時間」の理解に向けて

第3回 10/1

上田 泰己(医学部)

個体中の計時機構の解明の現状を紹介するとともに、全細胞解析を可能にする全脳・全身透明化技術や細胞から少量多品種で個体を創りだす技術など、個体レベルのシステム生物学実現に向けた試みを議論します。

行動を変化させる分子と回路

第4回 10/8

飯野 雄一(理学部)

過去の経験をもとに、状況に応じて行動を変化させる能力は、脳神経系が持つ最も大事な機能です。神経一個一個の働きが、このように変化する行動をどう生み出しているのか。小さな神経系を持つ生物 “線虫” を使ってわかってきたことをお話しします。

小さな脳を俯瞰する

第5回 10/15

多羽田 哲也(分生研)

ショウジョウバエはとても小さな脳を持っており、顕微鏡の下で脳神経の活動を見ることができます。このような実験系を使って、記憶のメカニズムを理解しようという挑戦が続けられています。その一端を紹介します。

細胞の活動を脳の中で生きたまま見て理解する

第6回 10/22

飯野 正光(医学部)

生きた動物の脳の中で、個々の細胞が互いに連絡をとりながら働く様子を目で見る技術が急速に発展しています。なぜそんなことができるのか、また、それからどのようなことが分かってくるのか、分かりやすく解説します。

化学感覚のしくみと進化-においやフェロモン信号の脳への入力

第7回 10/29

東原 和成(農学部)

生物は刻一刻と変化する外的環境の情報を脳感覚神経系で感知します。なかでも嗅覚は、生命維持、種存続のために重要です。においやフェロモン信号を感知するしくみを概説し、嗅覚受容体遺伝子のダイナミックな分子進化を紹介します。

情動と価値判断の神経基盤

第8回 11/5

榎本 和生(理学部)

私たちは生まれながらにして「好き・嫌い」などの情動を持ちます。また、ずっと好きだったものを何かのきっかけで突然嫌いになることや、その逆も起こります。脳は「好き・嫌い」をどのように判断するのでしょうか?同じような仕組みはムシのような下等生物の脳にもあるのでしょうか?動物の脳に備わる情動と価値判断の仕組みについて紹介します。

計算神経科学-モデルと解析

第9回 11/12 脳活動を表現する数式

第10回 11/19 「学習」を表現する数式

豊泉 太郎(理化学研究所)

実験技術の急速な進歩により、脳内の多数の神経細胞の活動を計測し操作することができるようになってきました。これらの膨大で複雑なデータをもとに、私たちはどのように脳の機能を理解していったら良いでしょうか?物理・情報理論などで培われたアプローチを用いて、実験的に観測される多様な神経現象を数式によって関連づけ予測する研究を紹介します。

虚記憶と実記憶-神経細胞集団による情報の符号化

第11回 11/26

井ノ口 馨(富山大学)

あなたの記憶は、本物ですか!?

本講義では、記憶がどのような仕組みで脳内に蓄えられるのかについて、最新の研究内容を解説します。いまや、異なる古い記憶を人為的に組み合わせ、新しい記憶を作り出すことができるようになりました。また、トラウマ記憶の抑制など、「記憶の医学」に挑む脳科学の最前線も解説します。実際には経験していない記憶を作ることに成功した人類は、どこへ向かうのでしょうか――。SF世界を彷彿させる最新の脳科学に迫ります。

脳と心

第12回 12/3

大木 研一(九州大学)

全ての神経細胞の活動を記録することは、脳の研究者にとって夢とされてきました。Charles Sherringtonは、このことを最初に夢想した一人で、もし全ての神経細胞の活動が見えたら、魔法の機織りのように見えるのではないかと記述しています。近年のイメージング技術の進歩は、この夢へと近付きつつあります。視覚野にある全ての細胞の活動を見ることができるようになったとき、何を考えることができるか、神経細胞の活動の総体として心を理解できるのか議論したいと思います。

哲学と生物学をシームレスにつなぐ

第13回 12/10

戸田山 和久(名古屋大学)

生命科学や認知科学の発展により、人間とは何かに科学のメスが入ることになりました。とりわけ、哲学の専売特許だとみなされてきた、心とか価値・倫理の領域も、自然科学の対象となってきています。こうした状況で、哲学はどうすべきでしょうか。哲学の伝統的問題が、生命科学・認知科学と出会うことでどのように変化して、もっとおもしろい問題になるのかということについて、実例を挙げながらお話ししたいと思います。

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