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2015年Sセメスター

「地域」から世界を見ると?

コーディネータ 古田元夫(教養学部)
ナビゲータ   谷垣真理子(教養学部)
  • 地域/国際
  • その他
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陸から見れば、香港や沖縄は中国や日本の「辺境」としか感じられないかもしれません。しかし、海から見れば、香港も沖縄も東アジアと東南アジア、さらには世界を結ぶ一大ハブとしてうかびあがります。地域研究が対象とする地域は、かつての文明圏であったり、国家であったり、一国の中の地方であったり、その形は実に多様です。現在の世界では、グローバル化、地域統合が急速に進む一方で、ナショナリズムに代表される個性の主張も強まっています。問題の所在によっては、「地域」の枠組みをどのように設定するのか、けっして自明の理ではありません。言いかえれば、どのように地域を設定するのかによって、世界の見え方が変わってきます。今回の学術俯瞰講義では、多様な地域から見える多様な世界を取り上げます。

総論

第1回 4/10 地域研究とは

古田元夫(教養学部)

地域研究という学問は、個性をもった特定の地域から世界を見る試みで、長い間、研究対象となる地域は、文明圏や国など、自明のものと考えられていました。 しかし近年では、地域をどのように設定するかで、様々な異なる世界が見えてくることの重要性が指摘されるようになっています。今回は導入として、こうした 地域研究をめぐる最近の動向を紹介します。

第2回 4/17   香港から見た世界

谷垣真理子(教養学部)

総論を受けて、地域のひとつの事例として香港をとりあげます。人口720万人の香港は見た目以上に周辺地域に影響力があります。1999年の鳥インフルエンザと2014年の雨傘革命からは、性格の異なる世界がうかびあがります。

宗教から見た世界

第1回 4/10 イスラーム国と中東の構造変化

山内昌之(名誉教授)

日本人二人を殺害した「イスラーム国」は、イスラーム史と国際政治の上でどのように位置づけられるべきか。イスラームと政治との関わりを歴史的に考えます。

第3回 4/24 シリア教会から見た世界

高橋英海(教養学部)

シリア語を典礼用語とする諸キリスト教会の信徒は、主に中東地域において宗教的少数派として生き延びてきました。また、第一次世界大戦中のアナトリア東部 におけるキリスト教徒の大規模な虐殺から、今年でちょうど百年となります。このようにしばしば迫害の対象ともなってきた宗教的少数派が周囲の多数派とどのように関わってきたのかを見ながら、少数派・弱者から見た世界がいかなるものなのかについて考えます。

海から見た世界

第4回 5/1 海上保安庁から見た日本の海、アジアの海

岩崎貞二(元海上保安庁長官)

海の国際ルールである海洋法条約を紹介しつつ、尖閣諸島、竹島などの日本をとりまく海の紛争事案について、海上保安庁としてどのように考えてきたか、どのように対処してきたか、現場の経験をふまえ話します。

第5回 5/8 東アジア海域の文化交流と寧波

小島毅(文学部)

東アジアで近代以前に展開していた海域文化交流について、中国の海港都市寧波に焦点をあわせて紹介します。そして、日本に伝わった「中国文化」が、寧波を経由してきたことによる特性を帯びていたことを講じます。

陸から見た世界

第6回 5/22 チンパンジーの住む森から見た世界

長谷川寿一(教養学部)

ヒトを頂点において見ると、チンパンジーはあと一歩でヒトになりそこねた類人猿です。先進国から見ると、チンパンジーの住むアフリカ奥地は辺境です。では、アフリカでチンパンジーと暮らしながら、現代社会と現代人を遠望すると何が見えてくるのでしょうか。「第三のチンパンジー」、「出アフリカ」、狩猟採集社会、文明、東アフリカの自然と歴史、南北問題、地球の未来などをキーワードに論じます。

第7回 5/29 大メコン圏 (GMS) を実走する

末廣昭(社会科学研究所)

大メコン圏開発は中国、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイの6カ国が参加する国際プロジェクトです。バンコクと昆明を結ぶ南北回廊、インドシナ半島を横断する東西回廊など、経済回廊を実走した経験をスライドと共に紹介します。

空から見た世界

第8回 6/5 リモートセンシングの世界

六川修一(工学部)

地球を俯瞰する最も有効な手段の一つである宇宙からのリモートセンシングは、観測手段の域を越え、環境・防災、資源、食料、外交など幅広い分野における広義の安全保障技術となっています。ここでは、リモートセンシングの世界を最新の活用事例とともに概観し、この技術が近未来においてなし得る社会貢献について論じます。

第9回 6/12 アジアにおける空間情報インフラの状況と歴史研究の可能性

水島司(文学部)

近年、歴史研究の分野で注目すべき二つの動きがあります。一つはグローバル・ヒストリー、他の一つはGIS (地理情報システム) の歴史学への応用であり、両者を結びつけて歴史学の新たな領域を生み出そうとした試みも進んでいます。本講義では、アジアにおける歴史GISのインフラ整備の地域別進展状況と、GISを利用した歴史研究の事例を示し、両者を結びつけた研究がもつ新たな歴史学の可能性について考えます。

災害から見た世界

第10回 6/19 火山

藤井敏嗣(名誉教授)

火山活動のもとであるマグマの発生をプレートの運動に関連して俯瞰するとともに、日本の火山活動がもたらす災害の多様性について論じます。火口周辺にのみ被害をもたらす噴火から、地球規模の巨大災害を引き起こす火山噴火まで、様々な様式と規模の噴火活動を考察します。

第11回 6/26 スマトラ大津波が繋いだ世界

西芳実(京都大学)

災害が、被害も支援も国境を越えて及ぶことが世界の常識となりつつある二十一世紀において、災害は地域のあり方をどのように変えるのでしょうか。2004年のスマトラ大津波の最大の被災地となったインドネシア・アチェ州の被災と復興の10年間を踏まえて、災害が地域と世界の関係を変え、また地域内の関係を見直すきっかけとなることを考えます。

食から見た世界

第12回 7/3 ヨーロッパ中世の幻想の食卓

池上俊一(教養学部)

食べることには、人間の生存に必要な栄養を摂取するという基本的役割以外に、多くの社会的・文化的な意味があります。ヨーロッパ中世世界では、それはしばしば象徴・幻想の域にまで達していました。ここでは、肉、パン、リンゴ、ブドウ、香辛料、薔薇水、野菜、蜂蜜、ミルクなどを取り上げながら、幻想を食べていた中世ヨーロッパ人の思いと、その幻想の民俗的背景や社会的機能、さらには神学的意味を考察します。

第13 回 7/10 食の安全のネットワーク

芳賀猛(農学部)

感染症は人でも動物でも、発生地域での封じ込めが肝要です。人間は農業によって「食」を自分たちでつくるようになり、人口増加を支えてきました。一方で、家畜生産の大規模化や家畜の移動が感染症の脅威を増しています。本講義では、家畜の感染症対策の歴史や獣医師の国際的ネットワーク、さらにBSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫といった感染症について紹介し、地域から世界へと視野を移しつつ、「食」の安全を考えます。

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